お姫様と若頭様。【完】
その小さな背中に幾つもの荷物を抱えて
何人の運命を背負っているのか。
誰も、誰も知らない彼女の闇。
俺にも少ししか見せてくれなくて、
誰にも頼らないでまた荷物を抱えて…。
"あの方"の存在は峯ヶ濱を大きくし、
そして彼女の存在も大きくする。
しかし、彼女を"1人の人間"としては
小さくしてしまう。
あんなにも彼女を傷つける存在が、
俺には憎くて仕方ない。
執事として峯ヶ濱が大きくなることを
喜ぶべきか、
1人の人間として彼女が否定されて行くのを悲しむべきか…。
俺のことを心配してくれるのが
彼女1人なら、
彼女を心配するのも俺であろう。
彼女は俺にとって、
"神に最も近い存在"だーー。