お姫様と若頭様。【完】
ーある日ー
友達の友達に可愛いと噂の子がいた。
どんなに女から告られても靡かない俺に
クラスの友達は心配してか、
その子を紹介してくれた。
なんでも、その子も俺に1度直接会って
話してみたかったんだとか。
…地位とか、顔とか、能力とか。
彼女も俺のそんなものしか見てない奴の
たった1部に過ぎないのだと、
その時の俺は思っていたんだ。
突然廊下が騒がしくなっと思えば
その子が教室に入って来て、
目が合ったと思えば
俺の前に来て話しかけて来た。
「あなたが神原君?」
そう言う彼女はやはり噂になるだけの
ことはあって、周りより整った顔立ち。
まぁ周りよりかは美人だよな。
そのくらいにしか思っていなかった。
「うん、そうだよ。
君は確か結城 美華ちゃんだよね?」
結城 美華ーYuki Mihamaー
彼女に合った名前だと
この学校の奴らは言っていた。
美華…美しい華。
あながち間違っちゃいねぇけど。
「わあっ!覚えてくれてたの?!」
パッと花が咲いたように笑う彼女。
それだけで周りで見ている奴らは
頬を赤く染めた。
…まぁ全校生徒覚えてるけどな。
なんでも完璧にやらないと気が済まない まぁ完璧主義な俺は、全校生徒の名前、
プロフィールを覚えている。
別にこの子だけが特別なんかじゃない。
「あ、あのね神原君…」
急にモジモジとし出した彼女。
何か言いたいことを
言いあぐねているようだ。
「ゆっくりでいいから教えて?」
と口調を柔らかくすれば、
「ありがとう」
と笑って言う彼女。
「…じゃあ言うね……。
あっ、あのね、神原君…」
どうせ君も俺の地位とか
外見しか見てないんだろ?
俺の表面ばかり見て、
ホイホイと着いて来る女達。
正直もう、
そんな人たちはうんざりなんだ。
付き合って、とかだろ、どうせ。
俺の…いや、
"神原の"女って地位が欲しいんだろ?
そんな地位、幾らでもくれてやる。
…だからもう、
誰も俺に構うなよ。