お姫様と若頭様。【完】
「はははははっ!
君面白いね。
友達?…と、友達…」
「えっ?ええっ?!
あのあの、ダメ…ですか?」
心配そうに尋ねて来る彼女。
「ダメだ」
「えっ、」
「ダメだ、面白過ぎて笑い止まんね。
…イイね、友達。
友達になってくれたら、
こっちこそ嬉しいよ」
手を差し出すとまた満面の笑みの彼女。
なんだかこの時は
面白くなる予感がしていたんだ。
今までの俺の概念を変えてくれるかも
しれない、そんなことを思った。
それからは毎日毎日楽しくて、家でも
学校でもワクワクは収まらなかった。
何もかもが上手く行って、
なんでも出来るような気さえしていた。
そんな俺だからこそ、突然のことに
体が動かなくなってしまった。
そしてその後に見せた強い憎しみ、
悔しさ、呆れ。
そしてなにより、
"無"
俺は何を目的として来たのか、
何故こんなことになっているのか、
どこから間違えてしまったのか。
その全てがわからなくなってしまった。
それと同時に、もうどうしようもなく、
どうでも良くなってしまった。