お姫様と若頭様。【完】
「えー!美華、手厳しぃ〜」
なんて笑うあいつらの声なんか
俺の耳には届かなかった。
ただなんかもう、
あぁそうなんだ、って思ったくらいで。
それ以上あいつの言葉は
受け止めようがなかった。
その後あいつと俺は
一切関わらなくなった。
それもそのはず。
俺がその"ファンクラブ"とやらを探し
あいつらに一芝居打ったのだ。
「僕の周りによくいる"結城サン"
君たちと話したいのにいつも一緒にいる
からタイミングが合わないんだ。
君たちとはぜひ話して見たいと思ってた
のに話せないと思うと残念だよ。
こんな僕を好きになってくれて
"ありがとう"」
心にもないことをつらつらと並べるのは
俺の超得意分野。
別にあいつに復讐したいわけ
じゃないけど、
あの高飛車女の歪む顔が見たくて。
…でもまだまだこんなんじゃ、
生温過ぎるよな。
"もう一押し"、だろ?