お姫様と若頭様。【完】
その後俺は彼女をズタボロにした。
心も体も。
俺自身が直接手を加えたわけじゃない。
俺の"ファンクラブ"とやらが
彼女に嫉妬して傷つけた。
かなり酷い仕打ちだったようで、彼女が
弱って行くのが目に見えてわかった。
それでも俺は一切何も言わなかった。
ただ知らないフリ。
そして彼女が1番弱っている時に
あっさりと彼女の手を離した。
"別れる"
という彼女にとって
とても最悪な形で。
ーガチャ
彼女が扉を開けた。
「…神原君……どうしたの、
急に呼ぶなんて…?」
俺は今日、彼女を呼び出していた。
結局俺の神原という名前にしがみつき、
欲に溺れた女。
そんな彼女にはもう正直、
飽き飽きしていた。
「…クラスの子から聞いたんだ。
…君が浮気をしてるって」
「えっ…?」
予想外のことに顔が歪んでいる彼女。
そりゃそうだ。
それはファンクラブの奴らが流した
単なるデマ。
慎重な彼女が浮気なんて面倒かつ
危険なことをするはずない。
「な、何かの間違いよ…私知らないッ!
ね、ねぇ…信じてよ…」
そう俺に縋る彼女が、
どんどん滑稽に見えて仕方ない。
彼女の浮気のデマが流れて
彼女の評判は酷く悪くなった。
まさかそんなことをする女だったなんて
…と。
彼女へのいじめを周りの奴らが見て見ぬ
振りをしたのもこれが原因だ。
浮気をする女だった、
という清純派ではなかったという事実。
そして最大の理由は、
"あの神原を裏切った"という事実。
彼女にはもはや、
味方など存在しなかった。
あの日教室で彼女と俺の話をしていた女
たちでさえ彼女を裏切った。
…本当にバカな女。
神原を利用しようとして
返り討ちにあった勇敢またはバカな女。
「先に裏切ったのは君だろ…!
クラスの子から聞いた…
君が浮気してるってことを。
それを聞いた僕の気持ちがわかる??