お姫様と若頭様。【完】
「名前は…?」
俺が聞くとみんなこっちを見た。
泪を除いては。
あいつは俺がこう言う事を
分かってたようだ。
「うーん…峯ヶ濱…名前はわかんない。
峯ヶ濱様って呼ばれてたよ」
様…?
峯ヶ濱…峯ヶ濱…どこかで……。
「あっ、峯ヶ濱財閥の令嬢だ。
"峯ヶ濱 楪"
きっとあの子だ」
そうか、だから聞いたことあったんだ。
峯ヶ濱なんて名前、
早々見つかるものじゃない。
「へぇ…様付けか。
あの財閥の令嬢ならまぁ納得だな」
と嵐も同意。
「泪、どうする?
あの財閥なら
情報は厳重にロックがかけられてる。
しかもそこに入っただけで
逆探知される。
あの鉄壁はいくら凄い奴でも
破るのは不可能だ。
…まぁ世界№1の悪蛇なら…」
悪蛇(アクータ)
イタリア語で"鋭い"の意
日本語に表すと悪魔の蛇
それは神出鬼没
するすると鋭敏にロックを潜り抜けて
極秘情報を手に入れる
それは企業にとって悪魔的存在であると
して名付けられた
「いくら全国№2の憐覇でも無理かぁ」
となだれ込むように言った翠。
憐覇(れんは)は俺のコード名
可憐にロックを解いて行く様から
名付けられた
連覇または連破ともかけているんだとか
コード名は他人に名付けられる
「私だって所詮№2ですから。
お役御免、と言ったとこですよ」
"峯ヶ濱 楪"
余計に興味がそそられる。