お姫様と若頭様。【完】
誰もがユズが目を覚ますことを望み、
ユズは目を覚まさないことを望んだ。
ユズは誰よりも自分を嫌っていて、
自分が傷つくことなんて
厭(いと)わない。
そして、
誰よりも他人が傷つくことを厭う。
どうして、どうして彼女はこんなにも
"優しく" "残酷"なのだろうか?
彼女が傷つくことで誰かが悲しみ、
そしてそのことを悔いる。
または何も出来なかった自分を恨む。
茶芽も美紀も功明も俺も、
それにヨルだって、
皆ユズのことを大切に思ってる。
それなのにこれ以上自分を責めるなよ、
ユズ。