お姫様と若頭様。【完】
私はこのまま何もかもを手放せる。
もともと、私自身が持っていたものなんて何もないから。
私はもう、あの世界に未練はないよ。
しいて言えば、
凱瑠、本当にごめんなさい。
今までよくしてくれたのに…。
私のこと励まして、
支えてくれていたのに…。
私を拾ってくれたヨル、
受け入れてくれた凱瑠。
恩を仇で返すようなことをして、
ごめんなさい。
大切な後輩を…ヨルを傷つけて、
本当にごめんなさい。
謝っても謝りきれないほど、
私は皆に酷いことをしたの。
だから私はこのまま…。
『気づけよ…ユズ……。
早く、早く起きろよ…』
えっ…?
この声は…ソウ……?