お姫様と若頭様。【完】






彼女が眠りについて約半年が経った。




一行に彼女は目を覚ます気配がない。



傷も癒えて、
後は精神的なものだと聞いた。





きっとユズをあちらの世界に引き止めているのはあの人の存在なのだと、

会えなくなってからもあの人の大きさを
感じた。



ユズはあの人を愛していたし、
あの人もユズを愛していた。



誰が邪魔しようなんて考えたか?



あんなにもお似合いなふたりなのに。


付け入る隙なんて一切ないし、
お互いがそれをさせなかった。




あんなにも相思相愛なカップルは
どこ探したってなかなか見つからない。



俺だって、そんなふたりは憧れだった。




あんなにも愛されるユズ。


あんなにも愛せるあの人。





そんなふたりを引き裂いたのは、
あまりに残酷な出来事だった。



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