お姫様と若頭様。【完】




もしかしたら、こうなることは
予測出来たかもしれない。



何せ、
彼女は半年もの間眠っていたのだから。



体力も落ちていれば思考回路だって…。


でもまさか自分が打たれる前だけじゃなくて俺たちのことも忘れた?






あまりにこれは残酷な答えだ。









「凱瑠に会いたい…。」






彼女がポツリと呟いた言葉。



俺たちの先代の"凱瑠さん"


あの人はユズ、聡さんに続き
とても強い人だった。

周りからの信頼も厚く、面白くて、
だけどいざという時頼れる人。


ユズの学校の理事長だと聞いた。


あの日からずっと
ユズの世話をしているらしい。

まぁ世話と言うか見張りと言うか…。



えっ、てかユズ、凱瑠さんのことは
覚えてんのか?



「おい茶芽、凱瑠さんに電話しろ」


俺の言葉にすぐに電話をかける茶芽。

ここが個室で良かったわ。

病院で電話出来るの個室か
電話可能スペースくらいだし。


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