お姫様と若頭様。【完】

【凱瑠side】


現幹部の新島から連絡が入り、
急いでユズのいる病院へと向かった。



事情は何となく理解した。


そして鵞賀 篤疾(わしのが あつと)にも
連絡した。

あいつは俺の代の副総長で、
俺の右腕だった男。

…いや、今も右腕か。
なんせ今俺と共に学校を支えてるし。






ーガラッ


「楪が目ぇ覚めたって本当か!?」


ーゴンッ


「病院では静かにしろ、バカ」


来て早々…と言うか後ろから来たこちらも来て早々のアツに頭を殴られる。

こいつ力強ぇんだよ。




「「凱瑠さん、篤疾さん、
こんにちは」ッス」

「あぁ」
「おう、お前ら久しぶり」


俺らに反応した永山と美紀。


どうやらここには新島はおらず、
池谷はユズの手を握ったまま離さない。



「ソウ、お二人がいらっしゃったぞ」

永山が声をかけても全く反応しない。



「永山、別にいい。

池谷はずっとこんな感じか?」

俺の言葉に頷くと俺と同じように池谷を
見る永山。


「ユズもさっきは目が覚めてたんですけど…薬ですぐに眠ってしまって。

検査とかは済ませたんですが
精神が安定してなくて…」


つまり精神安定剤を打った、と。



「まぁ別にいい。

楪が起きるまで
しばらくここにいるとするよ。


ところで愛果は?
ここに来てないか?」


「栄充さんっスか?

ユズ最近会ってないっぽかったですが」



栄充 愛果ーManaha Emiー

楪の親友
楪と同じく財閥のお嬢様で
大人っぽくおしとやかな子
楪と同い年でよく一緒にいた、
信頼しあっていた2人


「ってことは
心愛と実榴も来てないか…」

「はい」


韻珠 心愛ーKokoa Injuー
韻珠 実榴ーMiru Injuー

双子
韻珠財閥の第二跡取り
一応彼女たちの姉が次期跡取り

心愛は静かで可愛い系の女の子で
手先が器用で料理も出来る、
大和撫子で、頭が良い(勉強が出来る)

実榴は騒がしくて皆を盛り上げる
ムードメーカーのような明るい子
サバサバした性格で運動神経がよい

顔の系統が違いまるで正反対の2人

2人とも楪の親友



「楪のこと知らねぇのか?

前はあんなにくっついてたのに…」


「もうっガーくん、楪ちゃんの心配を
先にしなさいっ!」

そう言って頬を引っ張って来たのは
俺の愛する彼女・
御明 洸ーHonoka Miakeー

御明財閥のご令嬢
普段は可愛くおしとやかな感じ

…しかし怒らせると半端なく怖い
笑顔の威圧が怖過ぎる
以前彼女を怒らせてしまった時、
腕が使えなくなった思い出が…。
空手有段者で全国大会優勝の経験を持つ

俺の心配をしてくれる、
普段は優しい俺の彼女
高校1年の時から付き合っている



「洸、いつ来たんだよ〜。
連絡ぐらいくれたって…」

「だって急いで来たんだもん。
忘れちゃったの〜」

唇を少し出して言う彼女。
うむ、美形だ。

ってか忘れちゃったって…
俺より楪優先かよ…。


「私たちのことは覚えてるみたい…。


ただ…ヨルくんやその時の幹部、
現幹部も全員、覚えてないみたいで…」


急にしゅんとする洸。

彼女の肩に腕を回して抱き寄せた。



「大丈夫。いつか思い出すって」


楪がヨルのこと忘れるわけないだろ?


楪は何よりあいつを愛してた。


そんな人を忘れるなんて…
今はまだ、頭が混乱しているだけだ。


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