お姫様と若頭様。【完】
ーある日の夕方ー
なぜか私はまだこの場所にいる。
もう悪い所はないはずなのに
皆が退院を許してくれなかった。
あの日凱瑠に1年前のことを聞かれた時
思い出そうとすると
酷い激痛が襲って来た。
後少しで出ると言う所で靄がかかったようになにも思い出せなくなった。
「新島さんに永山さんに池谷さんに
金上さん…」
新島 功明
永山 茶芽
池谷 宗志
金上 美紀ーMiki Kanakamiー
名前を聞いても
全く思い出すことが出来ない。
凱瑠やアッくん、ほのちゃんは
わかるのに、なぜかあの記憶の中の人と
ここにいる人たちがわからない。
思い出したいと言う気持ちはある。
でも"私自身"が思い出さない方がいいと
知らぬ間にセーブをかけているのか、
一行に思い出すことが出来ない。
まだ分からないのだと首を振り、
皆の悲しむ顔を見て
私の所為なんだと実感する。
本当はそんな顔、
させたいわけじゃないのに…。