お姫様と若頭様。【完】

【宗志side】


もうすでに日課となっている
ユズの見舞い。


ユズが以前好きだった花と
あの人が好きだった花の両方を持って
病室へと訪れた。



きっとまた、
思い出してくれると信じて。














「あっ、おい、楪!!」


「峯ヶ濱ッ!」



ん?誰だ、この声?


凱瑠さんと…聞いたことのある声だ。







扉を開けると倒れこんで来る人影。



思わず花を手から落として
倒れて来た人を支える。







「…えっ……ユズ?」



説明してもらおうと視線を上げると
凱瑠さんと…こいつ、陣宮!!



俺は…というか紅蓮は顔がわれてない為
俺に相手は気づいてない様子。


そっか、ユズ、彩狼と同じ学校だって
言ってたもんな。




「おう、池谷。

丁度良いところに来た。


サンキューな」



そう言ってユズを受け取ろうとする
凱瑠さんに大丈夫だと目配せし、

自分でユズをベッドへ連れて行く。



その間に凱瑠さんは俺が落とした花に
手を伸ばした。







「おっ、これアネモネの花じゃねぇか」


そう言う凱瑠さんはきっとヨルさんが好きだったことを言っているのだと思う。


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