お姫様と若頭様。【完】
「凱瑠ってば!
もう、さっきから呼んでるのに
ちゃんと聞いてる??」
そう言って頬を膨らませる楪。
何気男のキュンポイントを
ついてくるよな。
まぁ可愛いのは楪がやるからだろうが。
「聞いてる聞いてる。
ってかそろそろ優貴来んぞ」
「えっ、マー君来るの!!」
そう喜ぶこいつは優貴大好きっ子。
まぁ優貴も楪超大好き野郎だが。
ーバンッ!
「ユズっ!」
大きな音を立て開く扉からは
楪待望の奴が。
「ユズ大丈夫か?」
「うん、心配かけてごめんね〜!」
そう言って抱きつくこいつら。
軽く腹立つ。
「マー君、会いたかったよ」
「俺もだよ、ユズ。
ってか俺の方がユズに会いたかった」
…え?何こいつら。
恋人?恋人なの、こいつらは。
俺のイライラボルテージが上がる。
「おい優貴、おめぇちゃんと仕事終わらせて来たんだろうな?」
そう睨んで楪を引っぺがして言うと
嘲笑うかのように見下し、
「ったりめーだろ。
俺を誰だと思ってやがる」
と鼻で笑ったこいつ。
俺の腕の中で楪はマー君かっこいいと
目をキラキラさせた。
そして俺の腕を抜け出し
再び優貴に抱きついた。
その奴の顔と言ったら勝ち誇った顔。
半端なくムカつく。
「ってかおい優貴、次授業だろ。
お前早く行け。
もうそろそろジュンが来るから
お前もういい」
それを聞き悔しそうに楪の額にキスを
して部屋を出て行く優貴。
…いい加減にしろ。
「えっ、ジュンさん来るの?」
そう不安気に言う楪はジュンが苦手。
ジュンは基本冷静かつ無表情だしな。