お姫様と若頭様。【完】
【楪side】
学校へ来て1週間。
対して何もなく、
ただただ平和に過ごしている。
周りからの視線は痛いけど、
前からこんな視線は慣れているから
こんなのどうってことない。
こそこそと話す声でさえ、
気にしなくなった。
「おはようございます、峯ヶ濱様」
「もうっ、やめてよアラレちゃん!」
朝から私を驚かせて来る
アラレちゃんこと坂月 霰ちゃん。
"ありのまま"とまではいかないけど
私の本性を知る子。
「今日生徒会あるんでしょ?
國館先輩まだ来ない?」
「國館先輩は…事情があるみたい。
家の事情って言ってたよ」
本当のところ、家の事情なんて嘘だと
思うけど凱瑠がそう言ってたしなぁ。
「ゆず…あの人に何もされてない?」
「うん、何もないよ」
アラレちゃんは私の心配をしてくれる
唯一の友達だ。
初めて話しかけられた時は凱瑠に聞いて
なかったから凄く驚いたけど、
凱瑠に教えてもらった時は正直驚いた。
まさか私が他人と仲良くするなんて、と。
なぜアラレちゃんは
私と一緒にいてくれるのか。
なぜ私は
アラレちゃんと一緒にいるのか。
なぜ私はアラレちゃんに
少しでも本性を見せたのか。
当時の私しか知らないこと。
アラレちゃんは私の友達のようで
そうじゃない。
アラレちゃんは"あの私"の友達
本当は私、友達が欲しいのかも。