お姫様と若頭様。【完】
「…ず……ゆーずっ!」
「ふえっ…?ん、何アラレちゃん」
「ゆずどうした?
ずっと呼んでたんだよ?」
そう言って私の顔を覗き込む彼女。
…うん。
まさに美少女。
「ゆず最近よくぼーっとしてるよね?
…何かあった?」
そうおずおずと聞いて来る彼女は
きっと私の顔色を伺っている。
聞かれたくない話題かどうかを
探っているようだ。
「私…は、別に何もないよ?
ただ最近ちょっと寝不足気味で……」
「ゆず顔色良くないよ?
どうして?寝れない?」
「ん……ちょっと考え事…かな。
なんか考え出すとキリなくてさ…。
今やることも多くて…家のこととか、
もっと頑張らなきゃって思うから」
半年もの間寝ていたせいで、
仕事は山のように溜まっていた。
それを今少しずつ始めたんだけど、
1人だと手が回らなくて実は夜も削って
仕事をこなしていた。
絶対…絶対に、
誰かにこれ以上迷惑かけたくないし、
峯ヶ濱次期当主として
こんなところで弱音を吐きたくない。
必ず自分の手でなんとかしてみせる。
この間久しぶりに夕梛に会って
凄く心配そうな顔をさせてしまった。
いつも病室に仕事を持って来てくれる
夕梛だけど、私がやり易いように色々
手を回してくれてるっぽい。
本人はそういうこと絶対に言わないから詳しくはわからないけど。