お姫様と若頭様。【完】

【凱瑠side】


ートゥルルルル

ーピッ


『俺だ』

「チッなんだよ、悠山。
名前くらい名乗れ」

『いや、まぁそれはいい。
急ぎで頼みがあんだけどよ』

「…んだよ、改まって」


いつもはあれやれこれやれって
勝手に命令して来るくせに。


『俺これから急患入ってるから
そっち行かなきゃなんねぇの。


…んで気になることがあってよ』

「気になる…こと?」


なんかこいつにしては回りくどくて…
不安が募る。


『あいつ…楪今日なんか変なんだよ。


もしもの場合…
なんてことがあるかもしれねぇ。


とにかく、あいつを今日だけ
見張っていて欲しい』


もしもの…場合…。


この間の場面が頭を過る。




『いかなきゃ、ヨルに謝りに』


そう言って彼女はフラッと、
どこかへ消えてしまいそうだった。


あの光景が……もしかしてッ!



「今からそっちへ向かう。

一応そっち着いてから何かあったら…
池谷に連絡いれる」




もっと…もっと俺があいつを引き止めていたらこんなことにはならなかったのではないだろうか…?




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