お姫様と若頭様。【完】
きっと自分なんてと思ったのは家の立場とかが原因で、彼もそれを見抜いてた。
だから私に家以外の存在意義をくれた。
そんな大切な大切な彼を、
私は一瞬でも忘れてしまったの。
「…凱瑠…忘れないでね、
彼のこと…。
私また、彼を見失っちゃうかも
しれないから…」
他人より、何より、
1番信用出来ないのは自分。
掌にはキラキラと輝く、
星のネックレス。
彼に1ヶ月記念で貰った物。
偶然私は彼に、
星のピアスをプレゼントした。
2人ともプレゼントはペアで。
あの日、彼の耳にも私の耳にも、
私の首にも彼の首にも、
同じ星がキラキラと輝いていた。
どれだけ願ってももう戻れない、
あの幸せなひと時。
それを思い出すたび、言いようのない思いがこみ上げて来る。
手を上げてそれを見る。
こんな暗闇にも関わらず、
闇に埋もれずに輝く星。
…なんで…なんで彼の瞳ばかり
思い出してしまうのだろう?
あんなに輝いていた瞳は、
もうずっと見ていないというのに。
それなのにあの頃よりずっと、
彼の瞳だけが鮮明に蘇る。
私に愛を教えてくれた、
あの大切な大切な彼のことを…。