お姫様と若頭様。【完】
「…寒いね、凱瑠。
先戻ってて、私は後から行くから。
もう少し…空を見てたいの」
空より"あなた"を見てるのだけれど。
「楪…」
「ねっ、お願い。
絶対行くから」
強い瞳で言えば
不機嫌そうな顔の凱瑠。
「…俺がその目に弱いこと知ってて
わざとやってんだろ?」
「…うん」
だから、私は嘘つきなんだって。
「俺が約束破る奴嫌いなの、
お前知ってるよな?」
「……」
知ってる。
ずっと一緒にいてくれたから。
「お前約束破ったことないもんな」
断言する凱瑠は、私になにも
するなと脅しをかけている。
…心配性め。
「…じゃあ凱瑠も知ってるよね?
私が1度言い出したら曲げないこと」
凱瑠の言葉には頷けない。
それをはぐらかすように
言葉を投げかけた。
「はぁ〜…。
お前ほど俺の弱みを知ってる奴は
いねぇよ。
あの洸でさえ、お前に比べたら
まだまだだな。
…ホントに、末恐ろしい奴」
そう言ってニカッと笑う凱瑠に
少なからず罪悪感。
私に今何かあったら1番に飛んで
来てくれるのはきっと…。
大切だからこそ、傷つけたくないって
思うの当たり前でしょ?
私なんかが重荷になって、
皆の明るい未来を妨げてる。