お姫様と若頭様。【完】
「…ううん、あたし強くないよ。
……あの時彼を止められなかった。
そのまま…って思ってたのかもね。
私の恨みを、
彼に晴らしてもらおうとしたの」
私からして見たら、あぁすればよかった
こうすればよかった、なんて思うことは
本当によくあることで。
彼女にして見たらそう思うことさえ
弱いと思っているみたいだけど、
それを次に繋げようと努力する彼女は、
私からしてみたら強い証。
人それぞれ、抱える物は違う。
だけど、必ず人の中に闇はあって。
溢れ出したら止まらなくなってしまうほどの闇を抱えた人だっている。
私や廻坂さん以上の闇を抱える人は
この世にたくさんいるはずで。
そんな人がいるならまだ自分はマシだと
自分を落ち着かせる人もいる。
可哀想だと、ただ同情する人もいる。
だけど、そんなんじゃない。
自分以上の苦しみを探したって、
同情したって仕方がないんだ。
…人それぞれ闇は違う。
解決の仕方だって勿論違う。
闇をどうするかは、自分次第なんだ。
それなら私は…
「…ぅっ……うぅっ…」
誰かと少しでも苦しみを分かち合えたら
これ以上の幸せは望まない。