お姫様と若頭様。【完】
ひとしきり彼女と泣いた後、
重たい足を引きずり教室へと戻った。
彼女は私に説明を求める前に、
あそこから連れ出してくれたのだ。
ただ気分転換に、
というわけじゃなかったようだ。
ーガラッ
だけど、
さっき以上に皆の視線は痛かった。
それでも私が前を向けるのは…
「大丈夫?聖」
「…うん。ありがと、渚」
クラスの人たちは私たちが名前で呼び合ってるのを聞いて目を見開いた。
あの廻坂さんを名前で呼び捨てなんて…という人の声もたくさん聞こえる。
実はここに来る前名前で呼び出しの合おうと約束したのだ。
私たちの"仲間"と"親友"の証として。