お姫様と若頭様。【完】
「え〜いいだろ別に」
「よくないっ!!皆見てるよ!」
「見たい奴には見せつけとけばいい」
本人の意思を無視して膝に彼女を乗せる
ヨル。
バカップル
誰がこいつに言うことを
予想しただろうか?
いや誰も予想なんてしなかっただろう。
きっとあいつ自身だって。
「…ねぇ、やっぱり恥ずかしいよ…」
そして、こんな表情をする彼女だって想像できなかった。
他人に無関心な彼女だって、俺ら仲間は信用してくれてると思っていた。
だけどそれでもどこか距離を置いているように無理して笑っているようだった。
一線を引くように他人を寄せ付けようとしない彼女。
そんな彼女を変えたのもまたヨルで。
密かに彼女を想う奴がいることはなんとなくだが知っていた。
他人の好意については鈍感な彼女。
敵意の視線なら誰より鋭いのに、なぜ彼女は気づかないのか。
それはただ単に興味がないというだけなのだろうが。
そしてヨルはそんな奴らにも、鈍感な彼女にも気づいているからこうして目に見えるように守っているのだろう。
はたしてこの中に総長の女を奪おうとする馬鹿な奴はいないと思うが。