お姫様と若頭様。【完】
放課後ー
学校から出て少し歩くと
曲がり角で声をかけられた。
「ねぇねぇ、ゆずちゃん、
帰りどこか寄らない?」
と國館先輩が言った。
そして近づいてきたかと思うと
腰に手を回されて、
距離を取ろうにも取れない。
「いえ、私、今日用事がありまして…」
「えぇ〜それこの間も言ってたよね?」
と私がやんわり断ろうとしているのに
それでも止めない彼。
私が回されている手を
振りほどこうとすると余計に強くなる。
「ねぇ、ゆずちゃん、俺と遊ぼうよ」
と耳元で囁かれ
ゾワッと背中に鳥肌が立つ。
「…ちょ、ちょっと先輩、
……ダメですよ…?」
と先輩を見上げると
急に身体を引き寄せられた。
「なにそれ、誘ってんの?」
と甘い声で囁かれたと思うと、
「えっ、ち、違いま…ンッ!」
唇を無理矢理押し付けられた。
後頭部に手が回っていて
顔を離すことができない。
「やめて…」
必死で抵抗しても無駄。
…気持ち悪い。
ドンドンと彼の胸を叩いても反応なし。
もうダメだ…
と目を瞑り拳をギュッと握ったその時ー
「生徒会役員が道端で
会長を襲ったなんて、
先輩、
明日の学校新聞の記事独占ですね」