お姫様と若頭様。【完】

【瑞side】


翠がポカーンとしながら倉庫へ来た。



いつも警戒心の強い翠が
ボーッとするなんて珍しい。


皆もそう思ったようで、


「翠、なんかあった?」

と嵐が声を掛けた。



一瞬考えるような素振りを見せた後、





「……ねぇ、会長ってさ、」


翠の真剣な顔と口調に
皆の注目が集まる。



まぁ泪だけはどうでも良さそうだけど。





「…双子…じゃないよね?」



「「「……は…?」」」



羽と嵐と藍の声が見事にハモる。




ふ、双子…?



「なんでそうなったわけ?」


と皆を代表して嵐が質問。





「なんか会長…
今日おかしかったんだよね。


さっき会ったんだけど、
副会長の…あいつにキスされててさぁ」



「「はぁ…?!?!」

羽と嵐のハモり。



「助けた方がいいかなぁと思って
行ったんだけどさ、

会長は冷たい目しててさ…。


普段ニコニコ笑ってるだろ?

あんな冷たい目すんのかなぁ?


もう本当に別人かと…
それか多重人格!


でもさ、そう思った瞬間、
いつもの顔に戻ったんだよ。


…なんか本当、雰囲気が一瞬で
ガラッと変わったんだよなぁ」


そう言って首を捻る翠。


会長が双子?多重人格?


そうは見えないけど…。


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