お姫様と若頭様。【完】



「でもでもぉ、
やっぱ会長には何かある気がするんだ。


なんか俺と同じ雰囲気を感じる」


相当気になっているのか、
口調が素になっている翠。



確かに雰囲気は周りとは違うあの子。


…翠とは似てない気がするけど。




「やっぱ楓が調べられないのが
厄介だよなぁ。


女の子に聞いてもただ尊敬って感じで
全然欠点がないようだし。

あの子のことを悪く言う子は
誰もいなかったな」

羽が相変わらずどこで掴んできたのか
容易に想像できることを言った。


…また女を引っ掛けたのかよ。


この間泣き付かれたばっかだろ。


あの時の羽の顔、
すんげぇ面倒臭そうだったし。


こいつも凝りねぇな。



「まぁ仕方ないですね。


…あの財閥はセキュリティが世界最高と
言われていますから。


バックに悪蛇がついてるって噂ですし。



それにしても不思議ですね…。


会長はいつも背の高い執事ですか?
その人が送り迎えしてますよね。


今日はなぜ1人で
帰ろうとしたのでしょう?」

と楓が的確な質問をした。


確かに。

いつもあの子は送り迎えが
必ずついている。


それは峯ヶ濱ほどの財閥なら
それも当然だろう。



ではなぜ今日は
歩いて帰ろうとしたのか?






あの子は本当に謎ばかりだ。



今まで女になんて興味を示すどころか
必要以上に嫌っていた翠が
今回はやけに気にかけている。











…そして俺らの王様・泪も。





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