お姫様と若頭様。【完】
あの後すぐに彼女が
否定をしていたものの、
なんとなく空気の悪くなってしまった
生徒会。
あれからもなぜか気まずい感じになり
下手に彼女に近づけない。
「何か手を打たないといけませんね…」
と何か思案する様な素振りを見せる楓。
俺らの基本的頭脳は楓だ。
「彼女のことはまぁ…。
今はあまり動くことは出来ないだろうし
そのままの状態で経過を待つのが
現状としては得策ですね。
それよりも私たちが気にしなくては
いけないのが黒炎(こくえん)です。
またクスリや強姦、リンチなどの
範囲を広げたらしいです。
私たちのテリトリーにも
最近は侵入してますし。
そろそろ潮時かと。
泪、そろそろ泳がすのにも
限界があるのでは?」
その楓の言葉に嫌々ながらも
連絡を始める泪。
彼女のことが気になるのも分かるが
俺らが優先すべきは族のことだ。
泪の様に総長様とあらばそれは尚更だ。
「あぁ、銀か?
明日黒炎をやる。
情報流しとけ」
その短い言葉で終わらせた泪。
言葉は少ないが銀なら
分かってくれるはずだ。
なんてったって銀は俺ら彩狼の
1番強い傘下でトップを張る男だ。
翼(たすく)の総長であるあいつを
泪は少なからず信用している。