お姫様と若頭様。【完】

【楪side】


最近目立ってきた黒炎。


紅蓮の私が潰してもいいけど、
今回は彩狼が出るらしい。



悪蛇として調べた情報だと、
周と朱が背後にいるとか…。






その情報に彩狼は気づいてんのか?



それにあいつらはうちを攻めて来る
はずだった。


その前に彩狼を先にやっとこうってか?



まぁあいつらがピンチになるほど
黒炎は強くはないが、

なにせ黒炎は途轍もなく卑怯な奴ら。



彩狼のような正統派の族は
武器を使わないため、かなり不利。



それに加え、

幹部もその下もひとりひとりが
下の族で幹部が出来るほど強いが、
数がかなり少ない。



黒炎は後ろに組が付いてる噂もあり
人数は比じゃない。




それに1番の問題は総長。





あいつらの驚いた顔…
見てみたくないわけではない。


本当はちょっと見てみたい。





「大丈夫かなぁ、あいつら…」



ポツリと零す凱瑠。


昔の良きライバルであった族が
心配のようだ。




「今回のことは
紅蓮が手を出してもいいけど、


一応心配は要らないかもよ?



いざとなったら
宗志達だけでも手伝うかもしれないし。



一応今回のことは皆に伝えてあるから。


紅蓮に被害が及ぶ前に
彩狼で何とかしてくれると
手間が省けてこっちとしては嬉しいね」



「相変わらず楪は人の心配しねぇな。


宗志達がやられたらどうすんだよ?


…まぁそんなたまじゃねーけどな。





紅蓮総長の舞闇(むおん)としては?



仕事の猫音(みょうお)としては?






お前ならあいつら、彩狼がピンチの時に
助けるか?




もしお前が猫音として活動してる時
目の前で紅蓮の奴らがやられてたら、





お前は助けるか…?」







懇願する様な凱瑠の視線。













そう分かってて…








「私は素(もと)は会社の人間よ…?」







こう答えてしまうんだから、







とことん私は"最低"だー。



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