お姫様と若頭様。【完】
気づくと残りは幹部だけになっていた。
たった一人でここまでやった舞闇。
俺らは何もせず
ただただ呆然と見ているだけ。
あいつの足手まといにしか
ならない気がしたから。
翠と瑞は手当てを受けていて、
俺らは仲間の手当てをしながら
あいつを見る。
本当に戦い方が綺麗だった。
噂で聞く以上に
そいつは凄いやつだった。
傷一つ負わず、
息も全く乱れない。
相手に少しも触れさせることなく
急所を狙い一発で仕留める。
何よりも怖いのがそいつの雰囲気。
殺気が漏れているのもそうだが、
無表情で戦っている。
そして戦っている途中は
ポケットに手を突っ込んだまま。
全て足での攻撃。
時々手を出す時は
どこかへ連絡をしているのか、
携帯を持つのみ。
時々とても綺麗な声で
仲間へ指示を出していた。
戦っている時に揺れる綺麗な金髪は
殆ど乱れず、立ち位置も変わらない。
圧倒的な力の差に、
誰もどうしようも出来ない。