お姫様と若頭様。【完】
In学校
「お嬢様!
…本当に行ってしまわれるのですか?」
「うん、行くよ。
学校だからね」
毎朝恒例行事と化しているこれ。
さっき言ったように
私と夕梛が一緒にいれない場所・"学校"
周りの女子は羨ましそうに
私たちを見てる。
…いや、夕梛を、だな。
夕梛は最初に紹介した通り、
世に言うイケメンだ。
そんな彼が私に、
行くな行くなと迫っている。
女子としては羨ましい
シチュエーションだろう。
しかもこれ、5分やそこらじゃない。
もう悠に20分は経過している。
そして妥協するのはいつも私。
「早く帰ってくる。
家だったらいつでも一緒にいるから」
「…絶対、絶対ですよ、お嬢様。
約束ですからね」
そう言って何度も押してくる彼。
「わ、わかったわ」
それに押される私。
朝からとんだ災難である。