お姫様と若頭様。【完】
Take6
大きな音がしてその音源を探す。
「…んだよ、あいつら」
音を立てたのはどうやら倉庫のシャッターの前に立っているあの男たち。
鉄パイプやらバットやらとにかく武器を
所持している。
…正統派の武器を使わない彩狼にとって
かなり不利なこの状況。
大丈夫なのかと周りを見ると
幹部の奴らも険しい顔をしていた。
「あいつら誰だ?」
一番近くにいた如覇に尋ねる。
「あいつらは死龍ーShiryuーだ。
卑怯な手ばかり使って
全国№3まで来た奴ら。
…この間傘下の下っ端が数人やられて
警戒はしていたけど…。
とうとう来たか…」
翠もいつもの様なゆるい口調ではなく
険しい顔で低い声。
幹部も下っ端も皆真剣で
ここにいる俺だけが、なんだか
置いて行かれた様な気分だった。
いつもはあんなに騒がしくて
笑顔が絶えない彩狼。
そんなあいつらの面影が全くなく
皆相手から視線を逸らさない。