プリンセスと5人のナイト!?
第二章 問題は皆で解くものです。
きょーふのれっすん。
「……おい。何でこんな簡単な問題に30分もかかるんだ。お前は。」
「……………………テヘ。」
それはね、蒼空くん。
私が馬鹿だからだよ。
「……センスないね。」
「………むふっ。」
「………(笑い方気持ち悪いな。)」
そんなに褒めないでおくれ、誠くん。
「………オカメ。お前パーティ行ったことあんのか?」
「…………アルヨ。」
「……はぁ……」
……朝陽に溜息つかれるとは…!
「……オカメさん……ナイフとフォーク逆ッスね。」
「え…………。」
玲央くん、これは流石に自分もビックリだよ?
「違う。…して頂戴。じゃなくて、…して下さい。だ。分かるか?」
「……ウン。」
…猛を此処まで饒舌にできる私ってスゴいかも。
教育係宣言を受けてから1週間。
私は毎日、カラフルな頭の人達に扱かれれいるんだけど…全く成長しない私に最初は怒っていた皆も最近は呆れかけている。
「オカメ…お前、それでよくお嬢様出来てたな?」
そして、あの馬鹿な朝陽にもこう言われる始末。
私、ホントにヤバイ…?
こんなに頭がお悪い私ではあるけども、ようやくシェアハウスの生活にも慣れて来て色々と知った事もある。
誠くんは自分大好きなナルシストだった、とか。
朝陽はここ何年も彼女がいないとか。
玲央くんはテストで学年首位を何回も取ったことがあるとか。
猛はお酒が入ると超喋るとか。
それはそれはもう沢山の事を知れた。
まぁ、一緒に住んでるんだから当たり前なんだけど。
……でも、一番不思議で、全く分からない人もいる。
「……聞いてんのか、オカメ。」
蒼空くんだ。
「あ、うん。聞いてるよ?」
只今、蒼空くんと経済学のお勉強中。
でも、経済学は難しいし、蒼空くんの事を考えてた私は、蒼空くんの話なんな全然聞いていなかったりもする。
「はぁ。じゃあ俺風呂入ってくるから。その間に問題解いとけよ。」
うーん…蒼空くんって、いつも何考えてるんだろ。わっかんないなぁ…。
「………おい。」
「わ、分かりました!隊長!」
ドスの聞いた低い声が聞こえたので、大きな声で敬礼をして見せると、「誰が隊長だ。」なんて言いながら蒼空くんは出て行ってしまった。
蒼空くんが出て行くのを確認した私はソファにもたれて溜息を吐いた。
「ふぅー……」
蒼空くんなぁー…。
蒼空くんって本当に不思議。
別に生活面では特に変わった所はないんだけど…私には壁が見えるんだ。
人に干渉させないって言うか、人に一線を越えさせないって言うか…。
5人の中で一番頼り甲斐があるのは蒼空くんだし、皆から頼られてるのも蒼空くん。
だから、皆も蒼空くんを信頼してると思う。
でも、彼は絶対に人を頼ろうとしない。
頼る必要がないのかもしれないけど、やっぱり私には壁が見えるんだ。
そんな事を考えていたら、
「…チッ。何で一問も解けてねぇんだよ。」
ドスのきいた声、再び。
「あは、あはは…」
笑って誤魔化す私だけど、蒼空くんの眉間にはシワが寄ってる。
…怒ってる。蒼空くんが怒ってる!
「そ、蒼空くん!出てくるの早くない!?まだ5分も経ってないよ??」
「…………時計も読めなくなったのか、馬鹿。」
馬鹿じゃない!と反論しようとして、デジタル時計に目をやると、そこには21:30の文字。
蒼空くんがお風呂に行ったのは、確か9時だったから…あ、もう30分も経ってる☆
やだぁ。かんなのお茶目さんっ☆
なんて言ったら、これはまたお怒りになられまして。
また蒼空くんの前で正座をさせられながらお説教。
「いいか。俺がやれと言った事はきちんとやれ。分かったか。」
蒼空くんがこう言うもんだから私は、「じゃあ、他の人の言う事は聞かなくていいの?」と質問すると今度はもの凄く痛いゲンコツが降ってきた。
痛かった。
「黙って聞け!」
「…………!?」
私がせめてもの抵抗で返事をしなかったら、またゲンコツが降ってきた。
今度は全く手加減なしで。
「痛いっ!蒼空くんが殴ったぁ!」
「さっきからうるせぇんだよ!俺が寝れねェだろ!」
蒼空くんに殴られた事に対してギャンギャン喚いていたら、リビングのドアをバンッと開けて顔を真っ赤にした朝陽が入ってきた。
怒られた。
「お前は迷惑っつー言葉知らねェのか!?ああん!?」
「…朝陽くんコッワーイ。そんなんだから彼女出来ないんだよ……!?」
また殴られた。頭をバシーンッと。蒼空くんのゲンコツ並みに痛い。
「「人の話を黙って聞け!」」
その日、私は身長もデカくて体格もゴツい2人組に夜中まで怒られて…ベットに入れたのは深夜2時だったのでした。