プリンセスと5人のナイト!?
「え…!?
ちょっと、どうしたの!?」
私が驚いてそう聞いても
「チッ…」
蒼空くんは面倒くさそうに眉をひそめ、舌打ちをして玲央くんの部屋に入っていった。
「な、何で…」
あの玲央くんの顔色の悪さは尋常じゃない。
真っ青だったし…。
でも、今きっと玲央くんの部屋にいっても蒼空くんに追い出されるだけだろうから、とりあえずリビングに戻ろう。
そうして私がリビングに戻り、しばらくすると蒼空くんが入って来た。
「蒼空くん…」
リビングに入って来た蒼空くんは私を一瞥して…何事もなかったかのように冷蔵庫から苺ミルクを取り出して飲み始めた。
「ねぇ…。蒼空くん。玲央くん、どうしたの?」
私がそう聞くと、蒼空くんはもう一度私を一瞥して
「お前には関係ねぇ。」
とだけ言った。
「関係なく無い。」
私も負けじと言い返す。
「あ?関係ねぇよ。」
「一緒に住んでるんだよ?関係ない訳無い。」
「…関係ねぇ。」
「蒼空くん!」
「…関係ねぇっつってんだろ!干渉すんなや!面倒くせぇ!!」
「っ…」
怒鳴られた。
此処に来て初めてだ、こんなに怒鳴られたのは。
それを1言に表すなら…まさに拒絶。
そこまで私に干渉してほしくないの…?
一緒に住んでるのに…干渉しないなんて無理なのに…
「……もういい。」
蒼空くんの態度に、なんだか腹の奥がムカムカする。
「…おい。」
蒼空くんが何か言ってるけど、私はそれを無視してキッチンに向かい、キッチンに置いてあった林檎を急いで剃る。
「…おい。」
そして、剃った林檎を片手に蒼空くんを無視してリビングを出た。
コンコン…
「……はい?」
私が林檎片手に向かったのは玲央くんの部屋。
さっきの顔色だけを見ても、何があったのかは分からないけど…ただ純粋に心配だった。
「玲央くん…私。」
「あぁ…。どーぞ。」
そう言われたので中に入ると、ベットの上で上半身だけを起こしてニッコリと微笑んでいる玲央くんがいた。
結構元気そうかも…?
「玲央くん、大丈夫?」
「…うん。大丈夫ッスよ。」
「でも、さっき顔真っ青だった…」
「あー…。大した事ないッス。」
そうやって微笑む玲央くんだけど、その顔はやっぱり真っ青。
笑顔も何処かぎごちなかった。
「…何かあった?」
「………何もないですよ。」
「…嘘でしょ?」
最初は笑っていた玲央くんも、私の質問がどんどん深くなるにつれて笑みがなくなっていく。
「……あはは。昨日少し女の子と遊び過ぎただけッスよ。」
「ホントに?」
「あーもう。しつこいなぁ、オカメさんも。」
最後には、顔こそ笑っていたけれど目はとても冷たくて…初めて玲央くんが怖いと思った。
「れ、玲央くん?」
「もう、俺眠いんで。出て行ってもらっていいッスかね。」
玲央くんは早口にそう言うと、私の背中を押して部屋から追い出した。
私は此処でも必要とされてないのか。
私の居場所って、何処にあるの…