プリンセスと5人のナイト!?
見てて干渉すんなって言ってるの?」



「……黙れよ。」



「だったらそれは干渉とは違うでしょ。」



「…うるせぇ。」



「蒼空くんは、分かってるって言ってるけ「黙れよ!!」」



蒼空くんがまた怒鳴った。



「俺は俺で色々あるんだ!アイツ等の事一番考えてンのは俺だ!」



蒼空くんが、蒼空くんじゃないように見えた。

いつも冷静で冷酷な蒼空くんなのに、今日は…今日は…



「金持ちのお嬢様が好き勝手言ってんなよ…!」



蒼空くんはそう叫ぶと、勢いよくドアを蹴って出て行ってしまった。



「っぅ…」



やっぱり私は弱い。
今まで堪えていた涙が、遂に溢れた。


人に拒絶されるのは辛い。

干渉するな。それそれだけだったらまだいい。

でも、あそこまで拒絶されると…。



「あーもう。またゴム忘れちったよー。って…え!?オカメちゃん!?」



私が1人で泣いていたら、いつも通りの呑気な声で誠くんが帰って来た。



「ま゛こ゛と゛く゛〜ん゛」



しゃがれた声でそう言い、誠くんに抱きついた。



「ちょ…!?え、なに!どーしたの!てか、離れてよっ!?」



「う゛っう。蒼空くんに、嫌われ、ちゃったぁ゛〜」



「え、…蒼空に?」



「ズズッ…。うん…」



「…まぁー。大丈夫だよ。たぶん。俺もう行かなきゃー。」



誠くんは、私を簡単にあしらって出て行こうとするんだけど…その足に縋りついた。



「ちょ、だから、離れてってば…?」



「いっ…ちゃ、やだよぉ…」



「…………」



「ひとり…にしな…いで」



そう言う私だけど、誠くんにまで嫌われるのが怖くってすぐに手を離した。



「ごめん…ね。いいよ。気にしないで?誠くん。」



「…はぁ。」



誠くんは盛大な溜息をついたけど…出て行こうとはせずに、私の横に腰を降ろした。



「誠くん…?」



「…しょーがないから一緒にいてあげる。
あーあ。もう。オカメちゃんのせいだかんね。リカちゃんに怒られちゃうよー。」



「…ありがとう…」



その日の夜。

誠くんは、ブツブツと文句を言いながらもずっと私の側にいてくれて…。

蒼空くんがシェアハウスに帰って来る事もなく、一夜を明かした。



ピチチッピチチチ…



朝。



目を開けると自分の部屋ではない天井。
そして、人に抱きしめられているかのような温もり。


横を向くと…



「……っ!?」



長い睫毛に白い肌。

とてつもなく綺麗に整った顔立ち。


気持ち良さそうにスースーと寝息を立てて私の真横で寝ていたのは…



「ま、誠くん…!?」



誠くんでした。



私が誠くんの名前を呼ぶと「ん…」と声を出し、私を抱きしめた。


…抱きしめた。


…抱きしめられた。


…………………。



「フギャァァァァァァァっ!」



びっくりした。

自分でもびっくりした。

私、こんなに大きな声が出たのね…っじゃなくて!



「な、ななな、なんで誠くんが私の隣で寝てるの!?」
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