プリンセスと5人のナイト!?
「…んぅ?何でって…昨日一緒にいてって言ったのはオカメちゃんだよ…」
まだ頭が覚醒しないのか、誠くんはボソボソと呟いている。
そう言えば…昨日蒼空くんに拒絶されて…それで誠くんに縋りついたんだっけ。
ん?でも、その事と、誠くんが私の隣で寝ているのは関係がないような…
ふと、そんな事を考えながら窓の外に目を向ける。
今日は天気がいいなぁ。
空に雲1つもないよ。
「そら…」
っそうだ!蒼空くんは!?
昨日あれから帰って来たのかな?
私はまだスースーと可愛い寝息を立てて寝ている誠くんの顔を叩いて起こす。
「誠くん誠くん!起きて!早く起きて蒼空くんの部屋見て来て!」
それでも誠くんは起きないので、さっきよりも力を入れてその綺麗な顔をバンバン叩いた。
「痛い!痛い痛い痛い!なに!?痛いんだけどっ!」
ようやく誠くんが起きてくれた。
超絶ご立腹なご様子だけど。
「おはよう、誠くん。」
「あぁ、おはよう。…じゃなくて!何で俺の顔叩くのさ!可愛すぎて怒れてくるのは分からなくもないけど!」
「蒼空くんの部屋行って、蒼空くん帰って来てるか見て来てくれない?」
誠くんのナルシスト発言は敢えてスルー。
可愛すぎてって…確かに可愛いけど、それで叩くなんて事しないっつーの!
「蒼空の部屋ぁ?オカメちゃんが見てくればいーじゃん。俺面倒くさい。」
朝からさっそくスマホを弄りながらそう言って来る。
皆を起こしに行くのも当番の仕事。
だから、どっちみち行かなきゃいけないんだけど、やっぱり気まずいよ。
「っうぅ…。ひどい。誠くんはひどいよ…」
最近、いや、昨日気付いた事だけど、誠くんは女の涙に弱い。
泣きながら頼み事をされたりすると断れないタイプなんだろう。
「え、ちょっと、泣いてるの?」
その証拠に、私が泣いてる(フリ)と分かって、困ったようにピンク色の髪を掻きむしっている。
「…昨日、大喧嘩した相手に、誠くんは普通に接しろと?ひどい…ひどすぎるわ…」
およよよ…と泣き崩れる私の迫真の演技。
これは未来のハリウッド女優だわ。
誠くんの顔をチラッと見ると、元々垂れていた目をもっと垂らして顔色も真っ青だった。
「な、泣かないでよ!分かったから!蒼空の部屋見に行くだけでいいんでしょ?」
「…本当に?見に行ってくれる?」
「うん!だから泣かないで?ね?」
「……分かった。」
私がそう言うと、誠くんは心底ホッとしたような顔をした。
「んじゃ、皆起こしに行って来るねん♪」
今までの演技を終え、誠くんを騙せた私はご機嫌に音符マークなんか付けちゃって、誠くんに満面の笑みを向けた。
「え…泣いてたんじゃ…ないの?」
「んー?何の事ー?私、泣いてなんかいないけど。」
顔面蒼白。
とは、こう言うことを言うんだと思う程真っ白の顔をした誠くん。
あ、元から白かったっけ?
そんな事を考えていたら、白かった誠くんの顔は、どんどん赤く染まっていって…。
「さ…」
「差?」
「さいってい!最低最低!俺を騙したの!?」
「うん。」
「っ素直に頷くな!小さい頃、親に嘘つきは泥棒の始まりって教えられなかった!?」