プリンセスと5人のナイト!?
「………っ………」
確かにそうだ。
蒼空くんの言ってる事は正しい。
結局要件が何もないなら、話し掛けるな、と言う事だから。
正しい。正しいんだ。
それでも、こんなに胸が痛むのは…何で?
「……ごめ、なさぃ……」
ダメだ。
此処で泣いたら、蒼空くんが悪いみたいになってしまう。
そんなのダメだ。
蒼空くんは悪くない。
なにより、これ以上蒼空くんに嫌われたくない…!
涙を必死に堪えて、部屋を急いで出て行こうとした時。
「……いい加減にせぇや。」
この場面、この雰囲気には不似合いな流暢な関西弁。
それは、とてつもなく聞き覚えのある声だった。
「え…誠くん…?」
流暢に関西弁を話しているのは、いつも可愛らしい声で話しているはずの誠くん。
「おどれら、いつまでそうやって陰気臭い雰囲気出しとるつもりなん?こっちまで気分悪ぅなるわ。」
「「「「「……………」」」」」
誠くんの言葉に、皆は無言。
「蒼空も蒼空やで。帰って来たっちゅー事は、少なくともかんなと仲直りしようと思ったからなんやろ?」
「……………。」
「せやったら、もっと素直になりぃ。思ってもいない事口走りやがって。かんなは謝っとるっちゅーねん。何で蒼空が干渉されるのを嫌うのかは、俺にも分からへん。でもな、お前は1人やないねん。」
「……1人…?」
今までずっと黙っていた蒼空くんが口を開いた。
「せや。お前の周りには沢山の仲間がおんねん。1人やない。頼りにはならんかもしれへんけど、もっと俺等の事頼ってや?1つ屋根の下で暮らす仲間やろがい!」
饒舌に、一気に捲し立てた誠くん。
その言葉は、蒼空くんの心に響いたのかは分からないが、蒼空くんは唇を噛み締めて俯いていた。
すると、誠くんが今度は私の方に向き直った。
急な事だったので、私はビクッと肩を震わせてしまう。
誠くんが怖い訳じゃない。
ただ、びっくりしただけ。
でも誠くんは、私が怖がっていると勘違いしたのか、悲しそうに目尻を下げた。