プリンセスと5人のナイト!?
「かんな…?かんなも、ちゃんと蒼空の目ぇ見て話しせぇや?かんなはそんな弱い奴やない。何事にも全力で、一番に他人の事考えてまう。それがかんなやろ?」
誠くん…そんなに私の事見ててくれてたんだ…
誠くんは、蒼空くんに話していた時よりも優しい口調で話してくれる。
「だから、今回も逃げずに全力でぶつかりぃ?」
そう言って、誠くんはニッコリと微笑んでくれた。
私は、誠くんを暫し見つめた後、ゆっくりと頷く。
…決めた。
そうだ。いつでも全力で突っ走って、ぶつかって、そこでまた起き上がる。
それが私だったはず。
でも今回は…拒絶されるのが、嫌われるのが怖くて、逃げてしかいなかったんだ。
そんなの私らしくない。
それに、逃げてばかりいても何も解決にならないもん。
「…ごめん、皆。少し、蒼空くんと2人で話したい。」
私がそう言うと、蒼空くんと私を除く4人は部屋から出て行ってくれた。
蒼空くんは、やっぱり私とは目を合わせようとはしてくれず、唇を噛んだまま俯いていた。
「蒼空くん…あんまり唇噛むと、血出てきちゃうよ、」
私は蒼空くんの隣に腰掛けて、彼の顔を覗きこんだ。
「……っ!」
びっくりした…
だって、蒼空くんの大きくて綺麗な瞳には涙が溜まっていたから。
誠くんが泣いたりしてる所は見た事がある。
でも、いつも皆に頼られている蒼空くんの涙を見るのは、これが初めてだった。
「…蒼空くん…」
「…み、んじゃねぇ…よ…」
こんな時でも強がっている蒼空くん。
そんな蒼空くんが可愛くて、自然と頬が緩んでしまった。
「…何笑ってんだ…」
あら、バレてた?
いつもの強い俺様な口調とは違い、弱々しい声で話す彼。
その姿は、何だか『この世には自分1人しかいないんだ。』と言っている様に見えて…私は蒼空くんを抱き締めた。
抱き締めて分かった事は、蒼空くんの肩が小刻みに震えていると言う事。