プリンセスと5人のナイト!?
「あ、あんたが此処に住む…!?」
「……真城の野郎が言ってたのはコイツか……」
「お、俺は…っ!「ただいま。」」
誠くんが何か言おうとしたとき、誰かがリビングへ入って来た。
皆は…よくこんな汚い所へ普通に入ってこれるわね!?
しかも、ただいまって言ったって事は…また此処の住人か。
「よお。」
「朝陽ぃ…」
蒼空くんは涼しい顔で、誠くんは何故かまた涙目になっている。
私も2人の視線の先にいる人を見たけど…ビックリした。
「あ?誰だ、コイツ。」
だって、私を睨む様に見ているその人の頭は…真っ青だったから。
こんなにも青く染まるんだなってくらいに真っ青。
黒に近い青じゃなくて、海みたいにキレイな青。
顔ももちろん整ってるけど…先に目につくのはやっぱり髪だ。
私が朝陽と呼ばれたその人(正確には頭)をジーッと見ていると…
「ブッ!あははははは!」
その人は私の顔を見て爆笑し始めた。
な、何!?私の顔に何かついてるの!?
私がそう思っている間もまだ笑っていて、ヒーヒー言ってる。
「はぁー…腹痛ぇ。」
その人は10分ほど笑い続け、ようやく収まった。
「朝陽、何笑ってたの?」
笑い終わったその人にまだネイルを続けている誠くんが尋ねた。
私も気になる…!
「ヒヒッ。だってソイツ…ふはっ…オカメさんみてぇな顔してんじゃん!」
「「ぶっ!」」
お、オカメ…?
オカメってあの、正月によくやるような…福笑いのオカメさん?
…しかも、それを聞いた蒼空くんと誠くんまで笑い出した。
「ははははっ!あ、朝陽、それ失礼!あはは!お、オカメ!オカメ!ははっ!」
誠くん…貴方も十分失礼ですけど。
誠くんは床をバンバン叩いて笑い転げてる。
……此処の住人はホントに礼儀と言うものを知らないらしい。
人の事を変態呼ばわりして、不細工って言って、ましてやオカメと呼んで笑ってくる。
一から礼儀を教えてあげようかしら…。
冷静になろうとしたけど、私はまだ笑いを引きずっている青頭を見たら怒りがフツフツと沸いてきた。
「はぁー…ヒヒッ」
「………おい、そこの青頭!」
私は我を忘れて怒鳴る。
「あ、青頭って…俺か?」
「お前しかいねぇだろぉぉぉぉぉ!人をオカメ呼ばわりして笑いやがってぇ!てめぇもさっさと名乗りやがれや、この野郎!」
「「「………………」」」
沈黙。
……冷静になろう。
今私は何を言ったんだろう?
お前、てめぇ、この野郎。
ダメだ…心当たりがあり過ぎる。
3人は私を見て唖然としてる。
私とした事が!
初めて会う人にあんな言葉遣いをして…!
お母様が此処にいらっしゃったら怒られるだけじゃすまないわ!
「お、おい。お前は誰だ?」
蒼空くんが話しかけて来た。
さっき名乗ったのに、もう忘れたのかしら?
もう。蒼空くんったら、忘れんぼさん☆
なんておどけてみたいけど、今はそんな雰囲気じゃないようね。
「小野寺かんなですけど…??」
私がもう一度名前を言うと、蒼空くんは盛大な溜息をついて誠くんは頭を抱ええていた。
「はぁ…朝陽。お前、自己紹介しろ。」
「はぁ!?俺が!?誰かも分からねぇコイツに名乗るのか!?」
「…コイツは今日から此処に住むらしい。真城の野郎がこの前言ってたろ。」
「言ってたけど…!アイツ、女って言ってたか!?」
「………知らね。」
「マジかよ…。おい、オカメ。」
またオカメって言った…!
不細工よりオカメの方が傷つくかも!
「な、何よ?」
「……朝陽だ。」
「は?」
「だぁー!朝陽だっつてんだよ!村山朝陽(ムラヤマ アサヒ)!」
朝陽って…!
嘘でしょ!?こんなに真っ青な頭してるのに朝陽!?
ヤバい!ウケる!
「ふふっ。朝陽ね、りょーかい。」
「おまっ…呼び捨てにすんなや!」
朝陽がなにやら頭上でギャーギャー騒いでるけど、私は朝陽の名前と頭が一致してない事が面白過ぎて、笑いを堪えるのに必死だった。