プリンセスと5人のナイト!?



「はい!ご飯!」



「「「「「は?」」」」」



わお。皆さん息ぴったり。



「何だよ、コレ。」



何って…焼きそばだけど。



「あら、朝陽くん。私の作った料理に何か文句でも?」



「なっ…!文句っつーか…文句アリアリだろ!」



はぁ?意味分かんない。
急いで作れって言うから作ってあげたのに。


「何でキャベツしか入ってねぇんだよ!?肉だろ!?普通、肉だろ!?」


「ホントにキャベツしか入ってない…」


「成長期の俺には悲しいっス…。」


「…………汚い。」



…もう!皆文句ばっか!せっかく作ったのにさ!


私が急いで作った焼きそばは、ただの焼きそばではない。

かんな特製、゛具材キャベツだけよ焼きそば ゛だ。


冷蔵庫を見たところ、残っていたのは4分
の1のキャベツと焼きそば麺。
調味料の所にはソースも置いてあったから焼きそばを作る事にしたんだ。



「はい、皆文句言わずにさっさと食べる!結構美味しいよ?(食べた事ないけど。)」


そう言うと、皆文句を言いながら食べ始めてくれた。

蒼空くんは出した時から食べてくれてて、それだけが何よりの救いだった。



「「「「「「…………」」」」」」



とくに会話もなく、テレビを見ながら焼きそばを食べ進める皆。そこに…


ピルルルルルーッ


誰かの携帯に電話がかかって来た。


「…はい。」

あ、誠くんのか。

誠くんは電話に出ると、相手ににこやかに対応していた。



「え?今から?うん、うん。分かった。すぐ行く。うん。またねー。」


ピッ。


誠くんは電話を切って横に掛けてあったコートを手に取ると、リビングを出て行こうとした。


「え、誠く…」


バタンッ。


何処に行くの?と聞こうとしたら全て言い終わる前に誠くんは出て行ってしまった。

皆を見ても、平然としてる。

何処行ったのかな…。焼きそばも残ってるし。


そこで、丁度焼きそばを食べ終わった朝陽に聞こうとした…時だった。


「あー!蒼空!ゴム忘れたー!取ってー!」


誠くんが戻って来て蒼空くんに何か頼んでいる。

蒼空くんは「面倒くせぇな」と言いながらも “それ ”を手にした。

う、嘘でしょ…?


蒼空くんは誠くんに “それ ”を投げる。



「ありがと!まぁ、今日の子は生でも大丈夫だって言ってるんだけどねー。でも僕のせいで子供出来ちゃったらやだしー。」



「ゴムは付けろよ、誠。子供が出来たら迷惑だ。」



「分かってるよー。」



なんて会話を蒼空くんとした後、誠くんは再び出て行った。


ちょっと待ってよ…。

今、ものスゴくはれんちな言葉が飛び交わなかった!?


ゴム?生?

ご、ゴムって、あれだわ!輪ゴムか何かよね!

さっき蒼空くんが投げたアレは、幻覚よ、幻覚!

でも、ナマって…


「おい、オカメ?気にすんなよ。誠は女遊びが主食だからな。」


朝陽が何か言ってるけど全く耳に入ってこない。


「生って…生ビール?」


それはダメだわ!だってまだ未成年だもの!

私がブツブツと呟いていたら…朝陽が私の顔をジッと見つめて来た。


「オカメ…お前、もしかして…」


「な、何よ?」


「ヤッたことねぇの?」

…は?

ヤる?何だそれ。

ヤるヤるヤるやるやるやる殺る殺る…


こ、殺す!?

ヤるって人を殺すって事!?

朝陽は馬鹿なの!?私が人を殺すなんてある訳ないっ!


「そ、そんな事ある訳ないでしょ!?馬鹿じゃないの!?」


私がそう言ったのに、朝陽は何故かニヤニヤしてる。正直言って…KIMOI。


「へーぇ…。」


「な、何よ。」


「お前まだヤッたことねぇの。」


「だ、だから、ないって言ってるでしょ!?」


人を殺めるなんて…滅相もない!


「…………未開拓か。」


なんと猛までもが言い出した。

未開拓?何だそれ。本日2回目の何だそれ出ちゃいましたよ。


「面白れぇ。オカメ、俺が初めてになってやろうか?お前は不細工だが、腐っても女だ。胸はそこそこあるようだし…相手してやってもいいぜ。」


本当に朝陽は何を言ってるんだろうか。

人を殺すのに胸の大きさって関係あるの?初めて知った。

ってゆーか。

平然としてるコイツ等は人を殺した事があるって事!?

私まで犯罪の道に陥れようとしてるの!?


「わ、私は腐っても犯罪の道に進まないわよ!」


……ふふん。言ってやったわ。

これで朝陽も、もう何も言ってこないでしょ!


「「「「は…?」」」」


わぁお。皆さん息ぴったり。

私がはっきりと宣言してやったら、今まで黙っていた、蒼空くんと玲央くん、猛まで口を揃えてきた。


「な、何よ…?」


私がそう言うと、皆は、ハァ…と深い深い溜息をついて何やら話し初めた。


「辞めとけ、朝陽。コイツは正真正銘の処女だ。」
…蒼空くん。


「あぁ…さすがの俺も萎えた。」
…朝陽。


「この年でまだこんなにも真っ白な人っていたんですね…俺、なんだか悲しいッス。」
…玲央くん。



「…………無理だ。」
…猛。



もう!皆して何なの!?

寄ってたかって訳の分からない事言って!


「真城はこんな事言ってなかったぞ…」
と、まだブツブツ言っている朝陽。


そう言えば…


「ねぇ、何で皆真城さんの事知ってるの?」


大家さんだからって事なら分かるけど…皆の様子を見てたら何か違う気がするのよね。


「あー…。オカメさん。それは明日になったら分かりますよ。」


玲央くんがニッコリと微笑んでそう言ってくれた。

明日か…明日からまた学校。

時刻は午後10時。

誠くんは本当に明日にならないと帰って来ないようなので、私は寝るとしよう。


「じゃあ皆。私、寝るね。」


「はぁ?」


「なぁに?蒼空くんも一緒に寝たいの?」


「……な訳ねぇだろ。勝手にしろ。」


「…?あ!」


「ああ?」


皆にはまだきちんと言ってなかったわよね…。誠くんは居ないけど、礼儀だから言わなきゃ。


私はすーっと空気を吸う。



「蒼空くん、朝陽、玲央くん、猛。」


「おまっ!何で俺だけ呼び捨てなんだよ!?」


「…………俺もだが。」



「今日から、1つ屋根の下。よろしくね?」


きっと、此処に来て初めての笑顔だろう。


私は満面の笑みを浮かべてそう言い、バタンとドアを閉めたのだった。



しかし―



「「「「…っ//」」」」



かんなが部屋を出て行った後に、茶色、青、緑、紫が顔を赤くしていた事など、当の本人は知る由もない。
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