叶わぬ恋。



鈴森くんのことはまだよく知らないけど、

結構いろんな男子と仲が良いこととか
女子からもちらほら人気があることくらいは
知っている。



今日隣になって改めてちゃんと見た。

普通に、格好良かったな。




……って、わたし、何考えてるんだろう。




そんなことを考えながら、
大通りのコンビニを曲がり、住宅街へ入る。






「……あれ…」




前方に、同じ学校の制服を着た男子生徒が歩いているのに気づく。

茶色い髪の毛に、襟足が短く跳ねている髪型。



…何故かまた鈴森くんを思い浮かべてしまう。



家に向かうみちを歩くわたしの前を、
その男の子も歩いていた。





「………」


もうすぐで家に着きそうな場所で
その人は左の狭い路地へ消えていった。


その左へ曲がって消えていく時の横顔。

わたしは見つめていた。

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