叶わぬ恋。
…――――――
「ぜーったいあれはね、鈴森くんだった!」
『あー、はいはい。ゆあ、さっきから鈴森くん鈴森くんうっさいわ』
「なんであんな路地入って行ったんだろう。あっちの家の人たちはみんな顔馴染みのはずなんだけどな…」
『おーい、聞いてますかー』
その日の夜、わたしはあやと電話をしていた。
帰り道のあの男の子。
あの髪、そして何よりもあの横顔。
「絶対鈴森くん!!」
『…もう駄目だこりゃ。切るよー』
ブチ、…ツーツーツー…
なんで鈴森くんが家の近くに歩いていたんだろう。
あ、そういえばアパートの方にたしか
同い年くらいの男の子がいた気もするようなしないような…。
え、もしそうだったら!
毎朝一緒に登校できるんじゃない!?
イケイケメンズと登校できるじゃん!
…なんて、わたしは浮かれていた。