叶わぬ恋。
そんな、何気ない隣同士のあいさつなはずなのに
鈴森くんの周りにいた男子たちが
わたしと鈴森くんを交互に見て、
どこか驚いている顔をした。
「え、おい・・・。颯斗、珍しくね?」
「え、何が」
「そーだよ、お前いつもあんま女子とそんなふうに喋んないじゃん」
二人の男子が面白そうに笑ってくる。
え・・・、っていうかそうなの・・・?
「そうだよな。いつも女子に話しかけられてももっと冷たくね?」
「えー?そう?」
そんな隣の会話をわたしは
鞄から教科書を取り出しながら盗み聞きしていた。
・・・確かにいつも鈴森くん、
女子と話してるところ見たことない気がするような、しないような。
・・・まーさか
わたしに気があったりして!?
あはあは!!
ないない!ないって~!
バンバンと小さく鞄を叩く。
そんなことを考えながらも、
わたしはこの時、きっとどこかで期待していた。