叶わぬ恋。



そんな、何気ない隣同士のあいさつなはずなのに


鈴森くんの周りにいた男子たちが
わたしと鈴森くんを交互に見て、
どこか驚いている顔をした。




「え、おい・・・。颯斗、珍しくね?」

「え、何が」



「そーだよ、お前いつもあんま女子とそんなふうに喋んないじゃん」


二人の男子が面白そうに笑ってくる。





え・・・、っていうかそうなの・・・?




「そうだよな。いつも女子に話しかけられてももっと冷たくね?」


「えー?そう?」





そんな隣の会話をわたしは
鞄から教科書を取り出しながら盗み聞きしていた。





・・・確かにいつも鈴森くん、
女子と話してるところ見たことない気がするような、しないような。





・・・まーさか

わたしに気があったりして!?



あはあは!!

ないない!ないって~!




バンバンと小さく鞄を叩く。




そんなことを考えながらも、
わたしはこの時、きっとどこかで期待していた。


  







< 14 / 52 >

この作品をシェア

pagetop