叶わぬ恋。
鈴森くんが実際に、
本当に女子と話すとき、冷たいかどうかなんて
わたしにはやはりよくわからなかった。
鈴森くんとは席が隣になって初めて話したわけだし。
席が隣になるまで、
存在は知っていても、ちゃんと見ていなかったのだから。
「夏目さん?」
気づくとわたしはずっとボーっとしていたみたいで
鈴森くんの周りにはもう男子たちがいなかった。
鈴森くんがわたしの名前を呼ぶ声でふと我に返る。
「・・・へっ?あっ、な、なにっ?」
「数学の宿題、やってきた?」
「え・・・、あ、うん!やってきたけど・・・」
「俺さ答えなくしちゃって答え合わせやってないんだよね。もし当たったら最悪だから見せてくれない?」
「・・・ああ、うん。いいよ」
「さんきゅ~」
わたしは笑顔で数学のプリントを渡した。