叶わぬ恋。
せっせと鈴森くんはプリントの答え合わせを始める。
「・・・・・。」
そんな様子をわたしはじっと見つめていた。
・・・本当に、こんな普通に喋ってくれる鈴森くんが
女子と話すとき?冷たい?あまり喋らない?
んなバカな。
普通にフレンドリーじゃないの。
「あ、そういえばさ、鈴森くん」
「んー?」
「金曜日、交差点の近くの住宅街の路地に入って行ったりした?」
何気ない気持ちでわたしは聞いてみた。
「・・・え、な、なんで・・・?」
「?・・・えっと、そのね、わたしの家がその近くで。路地に入っていく鈴森くんらしき人を見たからさ」
なぜか鈴森くんの顔はほんの少しだけ引きつっていた。
そして、どこか気まずそうに
「ああ・・・、いや、うん。それ俺だわ」
と言い、止まっていたペンをまた動かせる。