叶わぬ恋。
一人になった帰り道。
わたしはずっと鈴森くんのことを考えていた。
「・・・・・・。」
交差点を過ぎ、あの例の路地に差し掛かる。
わたしはそこで立ち止まり、
そこの小さく細い道をじっと見つめた。
特にこれと言って特別な建物はない。
ただ、ぎゅうぎゅうに押し詰められたように建つ家があるだけ。
「ちょっとだけ・・・」
わたしはそう呟き、
その狭い路地を歩いて行った。
「・・・おお」
路地を抜けると、家々の塀で死角になっていた
住宅が予想以上に並んでいた。
どの家も建ってから10年以上はたっているように見える。
こんな近所に住んでいるのに、
この路地の先にこんなに家があったなんて。
その家々の先を見ると、
今通ってきた、車は通れないような狭い道ではなく、
普通に1台通れる幅の道路が見えた。
きっとこの狭い道は、近道のようなものなんだろう。