叶わぬ恋。




一人になった帰り道。

わたしはずっと鈴森くんのことを考えていた。



「・・・・・・。」



交差点を過ぎ、あの例の路地に差し掛かる。


わたしはそこで立ち止まり、
そこの小さく細い道をじっと見つめた。



特にこれと言って特別な建物はない。

ただ、ぎゅうぎゅうに押し詰められたように建つ家があるだけ。



「ちょっとだけ・・・」


わたしはそう呟き、
その狭い路地を歩いて行った。







「・・・おお」


路地を抜けると、家々の塀で死角になっていた
住宅が予想以上に並んでいた。


どの家も建ってから10年以上はたっているように見える。




こんな近所に住んでいるのに、
この路地の先にこんなに家があったなんて。



その家々の先を見ると、
今通ってきた、車は通れないような狭い道ではなく、
普通に1台通れる幅の道路が見えた。


きっとこの狭い道は、近道のようなものなんだろう。



 

< 22 / 52 >

この作品をシェア

pagetop