叶わぬ恋。
「・・・・・。」
わたしは辺りの家を見渡した。
鈴森くんらしき人物は、この家たちのどこかに住んでいるのかな。
「・・・あれ?夏目じゃん」
「・・・・・わっ!」
突然後ろから声がして、わたしは思わず声をあげる。
「ははっ、そんなびっくりしなくても。・・・てかお前、何してんの」
「あ・・・、矢野くんか・・・」
振り向いてみると、1年のとき同じクラスだった矢野くんだった。
学校帰りのようで、制服を着ている彼は
1年のときはサッカー部だったけど途中で退部した、と前にあやから聞いた。
「サッカー部か・・・」
「・・・はい?」
「っていうか、矢野くん何でここにいんの?」
すると矢野くんは少し笑って
「だってここ、俺ん家だし?」
と言いながら目の前の一軒家を指さした。
「えっ・・・?何ですと・・・?」
・・・今まで知らなかった。
こんなに近所に同じ高校の人が住んでたなんて。