叶わぬ恋。




わたしが差し出したお弁当を、
鈴森くんはしばらく手に取ったまま見つめていた。



「・・・お~い」


そう言って鈴森くんの顔の目の前で手を振ると

「わっ」

と言い、我に返った鈴森くん。





すると、鈴森くんは、嬉しそうに

「ありがとう!今日はないけど夏目さんの昼代は今度渡す!」

と笑って言ってきた。



・・・ドキッ



あれ、まただ。
何なんだ、この気持ち。






「えっ、い、いいよ!それじゃあ逆に悪いし・・・」


「じゃあ俺が奢ってやるってことで受け止めれば問題なし!今日は金ないからごめんね?」



「じゃ、じゃあお言葉に甘えちゃおうかな・・・」


「うん、そうして!」



女の子のお弁当をあげるとか
やっぱ嫌かもしれない、なんて一瞬思ったわたしの考えは
間違っていたようだった。


嬉しそうに笑った鈴森くんの顔。


なんだかこっちまで嬉しい気分になる。





今度昼代もらえるとか、悪い気持ちでいっぱいになるはずなのに

わたしの心はもっと・・・違った、
わからない気持ちになる。



本当に何なんだろう、おの気持ちは。




   
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