叶わぬ恋。
「・・・・」
音楽を聴きながら帰り道を歩く。
「・・・あれ」
交差点を曲がり、あの例の路地に差し掛かる。
そこに同じ学校の制服を着た男子が、曲がろうとしているのが見えた。
一瞬、鈴森くん?なんて思ってしまうが、
当の本人は今、学校で部活中だったことにすぐ気づく。
「・・・お」
路地を曲がろうとしていた少年は、こっちを向き、
わたしに気づいてこっちへ向かって歩いてきた。
「・・・矢野くんじゃん・・・」
「え、なにその残念そうな声なの夏目。」
この前会ったときより髪の毛は短くなっていて、
その上金髪がさらに明るくなっている。
耳からはいくつものピアスがちらりと見えた。
怖い。
「今帰り?つーか最近よく会うな」
本当にごもっとも。
つい最近近所に同じ高校の生徒、
しかも矢野くんが住んでいたと知ったばっかなのに。
会ってしまう頻度が1週間で2回目だ。