叶わぬ恋。



矢野くんがそう言いながら小さく笑うので
わたしも作り笑いをした。




「あ・・・そうだ」


「あ?」




なんだか知らないけど、矢野くん、
鈴森くんのこと知ってそうだし・・・聞いてみようかな。



この前の”鈴森くんを好きにならない方がいい”発言も気になるし。







「鈴森くんってさ・・・その。彼女いるの・・・?」


「・・・・」



矢野くんは一瞬目を大きくさせ、びっくりした顔をした。




「え・・・、いや・・・」


そして今度はなぜか、顔が曇る。


なぜか、言いにくそうな、そんな感じ。






「・・・?」


そして、やっと口を開いたと思えば、
よくわからない発言が待っていた。







「彼女はいないよ。・・・でも・・・」

「うん・・・?」






”好きな子はいる”

もしかしたらきっとそんな答えなのかな、と
なんだかまた痛くなってきた胸を落ち着かせながら
わたしは次の言葉を待った。



  




< 41 / 52 >

この作品をシェア

pagetop