叶わぬ恋。
「・・・でも、多分彼女は作らないと思う」
・・・――――え?
どういう・・・事?
口を開けてまっすぐ見るわたし。
そんなわたしを矢野くんは小さく笑った。
「まあ、深く突っ込んでこなきゃいい話だしさ?」
「えっ、どういう事よ!?」
すると矢野くんは眉間にしわを寄せる。
・・・迫力があって怖い。
「お前・・・・。」
「・・・?」
「・・・・いや。」
矢野くんは言葉を詰まらせ、咳払いをした。
「・・・なんでもねーけど、鈴森はやめた方がいいと思う。」
そう言い残し、矢野くんは去って行ってしまった。
「・・・・え?」
その場に立ち尽くすわたし。
耳から外れたイヤホンから、
わずかに音が漏れて聞こえる。
それほど辺りは静かになっていた。