叶わぬ恋。
門を抜け、5月の温かいぽかぽかな空気を
思いきり吸って歩く。
「……。」
「……。」
「…んで?」
「えー?」
「なんで田中がついてくるの?」
気持ちよく歩いているのに、
何故か後ろからついてくる田中。
「え~一緒に帰ろうよ~」
「やだ」
「どっかお茶でもしてく~?」
「お断りします」
ほらね。こうやって田中は
いろんな女子と居たがるんだ。
わたしはそういう奴とはいたくないな。
「……。」
「途中まで一緒に帰るだけは…?」
急に声の小さくなる田中を振り向いてみれば
口尖らしてるし。
「…はあ、わかったわかった」
そんな悲しそうな顔されても、と思い承諾。
まあ、帰るだけだけどね。
「やった~!」
歯を見せてにっこりする田中。
よく田中とは喋るけど
一緒に帰ることなんて、初めてかもしれない。